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民法770条第1項1号の不貞行為で離婚請求する場合には、「性行為の存在を確認ないし推認出来る証拠」が必要とされています。裁判では原告側(訴訟を提訴した側)に立証責任があり、原告側は「性行為の存在を確認ないし推認出来る証拠」を提示して被告の不貞行為を立証しなければなりません。つまり、相手の浮気を原因に離婚請求を起こす場合には、「相手の浮気が確実にあって、その事実が婚姻関係(結婚生活)を破綻させる確かな原因となった」事を裁判所に認めさせるだけの説得力のある客観的で明確な証拠を提出する必要があります。

 
どんな証拠が必要なのか?

民法770条第1項1号の不貞行為で離婚請求する場合には「性行為の存在を確認ないし推認出来る証拠」、「ある程度の継続性のある肉体関係を伴う男女の関係」を証明できる証拠が必要になってきます。浮気相手とのメールや手紙、携帯電話の着信履歴、手帳の記録などは、状況証拠であり偽造も可能な為、裁判所に提出する証拠としては十分ではありません。又、盗聴したテープ等も証拠能力はないと判断されています。又、本人が浮気を認めた時会話のテープ、署名捺印させた書類なども、後で主張を覆す事も考えられるので、決定的な証拠にならない可能性があります。
一般的に裁判上の証拠として、有力といわれているものはホテルや相手の部屋に入ったり、出てくる場面を撮影した写真やビデオなどがあります。ただ、デジタルカメラの証拠は高度な画像編集が施せる為、1枚だけしかないと証拠としては不十分になる場合があります。ある程度連続性の多くの枚数を用意した方がよいでしょう。

 
写真やビデオの証拠なら完璧なの?

写真やビデオにホテルから出てくるような決定的な瞬間を収めても、十分とはいえません。「体調が悪かったので一時的に休んだだけ、不貞行為はしていない」等、相手の言い訳する余地は多々あります。又、浮気を認めても一度だけの関係で相手側が謝罪、反省すると民法770条第1項1号の不貞行為ではなく、民法770条5項の「婚姻を継続しがたい重大な事由」で処理される可能性があり、慰謝料の金額等で不利になる可能性があります。
裁判所が重要視するのは、「ある程度の継続性のある肉体関係を伴う男女の関係」かどうかなので、写真やビデオも何日分かの複数の証拠を集めるとよいでしょう。

 
写真やビデオの証拠以外は意味無いの?

そんな事はありません。裁判上の決定的な証拠とならないだけで、協議離婚や離婚調停の際の様々な交渉を有利に進める為にも確保できる証拠はできるだけ確保しましょう。
又、本格的な調査を興信所等に依頼する際にも周辺情報が多いほうが調査日数も費用も安くあげることができます。携帯の履歴、メールの内容、手帳や手紙やメモのコピー、毎日の帰宅時間、カードの請求書や、不審なレシート等は控えたり保存しておきましょう。

 
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