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■回復の見込みの無い精神病 |
協議離婚・調停離婚以外のケースで離婚する場合は法定の離婚原因が必要になります。
法定離婚原因は下記の5つとなります。
・配偶者の不貞行為
・配偶者の悪意の遺棄
・配偶者の生死が3年以上不明な場合
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合
・婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
配偶者が強度の精神病に掛かり、なおかつ回復の見込みがない場合、民法では裁判離婚の原因としてこれを認めています。
強度の精神病とは夫婦生活の本質的な義務が果たせない状態にあることで、精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の1級程度の判定が必要かと思われます。
1級の精神障害者ですと、精神疾患の症状として、人格変化、思考障害、妄想、幻覚等の以上体験があり、能力障害の状態では洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持が困難な他、金銭管理能力がなくなったり、家族や他者へ適切な意思の伝達ができない、などがあります。病名では、
・早発性痴呆・麻痺性痴呆・初老期精神病・躁鬱病・偏執病 などです。
配偶者がこのような精神病になってしまった場合、精神病の程度と回復の見込みに関して専門医師の鑑定が必要になります。
また、程度の問題は直ぐにでも判断が可能な要素ですが、回復の見込みに関してはその病状の経過をみて判断する必要がありますので、ある程度の期間が必要です。
それと、精神病になった配偶者の離婚後の生活に関しての見込みや予定が必要になります。
そもそも結婚生活には、お互いの扶助義務が発生しますので、「配偶者が精神病になったからといって扶助義務を放棄していいという事はありません」というのが、判例から見て取れる見解です。ですので、裁判所では精神病を理由に離婚を認める事に前向きな判例は残念ながらありません。
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■躁鬱病 |
躁鬱病(そううつびょう)とはうつの状態(どんなにいい事があっても気分が改善しない状態や、全てに興味が無くなってしまったような状態)と躁の状態(気分がよく高揚している状態、いわゆるハイの状態)が出現する病気です。※うつの症状だけが出現する病気をうつ病としていますが病気の性質は全く違います。
こういった症状や病状を気分障害と言い、病状がひどい場合には幻覚や幻聴といった症状も出ます。
躁鬱病は気分的な問題として認識されているかもしれませんが、実際の患者さんや周囲の方にとっては深刻な問題です。
躁鬱病の主な原因は遺伝的な体質によりセロトニンなどの神経伝達物質に対する過敏性があり、そのために、神経伝達が不安定な状態になる事だと考えられています。
うつ病の場合はその原因はストレスと言われており、軽い症状のものから重いものとかなりの個人差があります。
躁鬱病の主な躁的病状として、多弁、活発、不眠、誇大妄想などがあります。
これとうつの状態が入れ替わって出現し、躁の状態では本人に爽快な気分がある為、医師の診断を受けさせる等の行為は困難になりますが、薬の投与で回復するケースもありますので、早期治療をおすすめします。
法定離婚原因としては強度の精神病の中に含まれてはいますが、薬の投与によって回復の可能性もありますので、回復の見込みが無いと診断される可能性は少ないように感じます。
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■関連語句解説 |
早発性痴呆 |
クレッペリン(一九八六−一九二六)が統合失調症を早発性痴呆と名付ける。精神分裂病とも呼ばれている。 |
麻痺性痴呆 |
痴呆という差別的意味合いを含む呼称を見直し、病名として、麻痺性痴呆という呼称へ変わろうとしている。 |
初老期精神病 |
初老期の器質性精神病の事で、痴呆や意識障害などの症状がでます。 |
偏執病 |
他者からの敵意を想像し、注察妄想や追跡妄想、被害妄想等の症状を引き起こします=パラノイア |
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