私は二十代で離婚し、五十代でも離婚しました。
二十代で離婚したときは、私がまだ若かったので、将来結婚もありうると前夫が言い、子供を前夫が引き取りました。でも数年後、私は手に職をつけ、子供を引き取り、母に子供の面倒をみて貰いながら、母と二人の子供を育てました。
『子どものために、離婚をためらう』と言う人がいますが、私はそういうことばを聞くと、むしずが走る思いがします。
聞こえの良いことばで本心を隠し、良い人ぶっているだけなのです。
子どものために、我慢ができるくらいなら、我慢するのが当たり前です。でも究極的に相手を受け入れられなくなると、計算もできず、一秒でも早く、籍を抜きたくなるものです。そこまでいくと、慰謝料だ、財産分与だなんて言っていられない。
書類上他人になれば、殴られたら傷害罪で告訴もできますが、形式上夫婦であれば、警察も民事不介入で、何もしてくれません。
精神的にいじけて生活するよりも、潔く過去を切り捨てて前進すれば、道はおのずと開けてくるものです。優柔不断が一番いけない。
離婚を決意したら、損得計算は後回しにして、強く生き抜く姿勢を貫くべきです。
そのような母を見て育つ子は、たとえ横道にそれても、絶対に心配はいらない。心の中に育ててくれた母に対する感謝の気持ちがあるから、あせらずに待っていれば、必ず理解し合える時期がくる。
現在私は六十三歳、娘は社内恋愛で結婚し、キャリアウーマンになり、子どもを作らない生き方を選択しました。
息子はバッチリと反抗期を経て、成人しました。親の反対を押し切り、せっかく入学した大学を中退し、夢を追い求めてフリーターになりました。息子の選んだ人生なのです。
親としては、そこまでしか出来ません。
現在息子は二十二歳。将来は未定ですが、やってみなければ結果は分かりません。
たった一度の人生なのですから、初心を貫徹できれば、それはそれですばらしい生き方だと思います。
今春、自立した息子が、母の日に、カーネーションを一輪持って、玄関に姿を見せた時、私の今までの苦労は、全て喜びに変わりました。
愛する二人の子どもがいるって、なんと幸せなことでしょう。
二人とも独立して、家を出たので、60歳から私は、大学生になりました。単位だとか、レポートだとか、辛くても有意義な充実した日々を過ごしています。
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