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弁護士法律相談 No 0287
相談者の情報
女性 31歳 働いていない 日本
配偶者の情報
結婚  1 年 39歳 自営業 日本
現在の悩み、状況について
離婚を考えてますが、彼は親権を渡さないとの事。日本に子供と帰国し、裁判を起こしたいんですが、裁判の方法は調停離婚、審判離婚、裁判離婚で進めて行けばいいのか?彼が一切、応じなかったらどうなるのか?逆に彼の方から子供を連れ去ったとかで訴えられないのか、今、専業主婦の私で親権は勝ち取れるのか、悩んでます。
理想的な状態
私が親権を取り、養育費を払ってもらう事。
回答
日本で離婚裁判をするかイギリスでするかの選択ですね。 イギリスでする場合の見通しについては、イギリスの弁護士に相談してください。 日本でする場合、次のような問題点があります。
1 国際訴訟管轄 国際訴訟管轄は、原則として、被告が住んでいる国にあります。相談者が日本で提訴した場合、相手方が被告になるので、原則として、日本に国際訴訟管轄はなく訴訟ができません。 家庭内暴力がある場合、相手方から遺棄された場合などは例外的に日本に管轄があり、訴訟が可能です。ここ2〜3年、ご相談のような事例が増えており、例外的管轄が認められる範囲が広がっています。 ご相談の事案が、例外的管轄に該当するかどうかは、相談内容からは判断できません。 ただし、多くの事例で例外的管轄が認められています。
2 手続の種類について 日本で離婚裁判をする場合で外国にいる方が相手方の場合、離婚調停は必要はありません。 また、離婚審判は、実務上、使われることがない制度で、これも考える必要はありません。ご相談の事例の場合、離婚訴訟から始めます。相手方が訴訟に応じなかったとしても、訴訟を進め、離婚及び親権を得ることができます。
3 親権について 日本で親権の帰属を決定する際、経済力が問題とされることは殆どありません。 経済力を親権決定の際の要素であるとする情報も流布されているようですが、これは、日本の裁判実務を反映していません。 日本の裁判実務では、親権は、女性有利、子どもとの同居親有利です。 相談者がお子さんと一緒に帰国した場合、相談者がお子さんの親権をとれる ことが確実です。
4 監護者指定について 日本において、離婚訴訟についての裁判管轄のない場合、離婚手続をせずに、監護者指定の審判をすることが考えられます。監護者として指定されることにより、 将来、相手方から子どもの引渡を請求された場合、これを拒否することができます。 監護者指定は、子どもの住所地国に裁判管轄があります。したがって、相談者が お子さんを連れて帰国した場合、日本に管轄があり、イギリスにはありません。
5 親権者誘拐について イギリス等、親権者誘拐(Parental abduction)に関するハーグ条約加盟国では、親権者誘拐は原則として犯罪である外、親権剥奪の理由となります。 日本は、当該ハーグ条約に加盟していないので、親権者誘拐は、原則として、問題とはなりません。仮に、相手方がイギリスの捜査当局に訴えたり、訴訟を起こしたとしても、日本政府が相談者をイギリスに引き渡すことはありません。また、イギリスの捜査権は、日本には及びません。 ただし、相談者が、相手方の同意なく、お子さんを連れて帰った場合、イギリスに戻ることができなくなる外、当該ハーグ条約の加盟国に行くことについてもリスクがあります。 親権者誘拐に当たらない例外については、イギリスの弁護士にご相談下さい。
6 養育費の支払いについて 日本で裁判をした場合、養育費の支払いを命じる判決を得ることができますが、これをイギリスで執行することは現実的でない可能性が大きいと思います。すなわち、弁護士費用(日英双方の弁護士を雇う必要性)が大きく、養育費の程度では、費用倒れになると考えられるからです。なお、ご相談の事例では、日本の基準によると、養育費は月額8〜10万円で、費用倒れになります。 また、相手方が親権者誘拐を訴えた場合、日本の判決がイギリスで承認されない 可能性もあります。(この場合でも、日本においては、離婚も相談者の単独親権も 有効です) 7 弁護士について 日本で、ご相談のような事例を数多く扱う法律事務所は極めて少数しかありません。おそらく、私の事務所が、同種の案件を扱う数が最も多いと思います。
私の事務所にご相談、ご依頼の場合は、 satsukih@xd5.so-net.ne.jp へメールして下さい。